今回は骨粗しょう症第2弾です。検査についてご説明します。
骨粗しょう症とは、「骨の量」が少なくなることと、「骨の質」が悪くなることで強度が弱くなってしまう状態です。「骨の質」を測る検査はありませんが、「骨の量」を骨密度を測定して評価します。
骨密度を測定するにはいくつかの方法がありますが、一般的にはDXA(デキサ)法という放射線を使った検査を行います。測る場所としては、主には腰椎(腰の背骨)や大腿骨(太ももの骨)の付け根で測定します。いずれも骨粗しょう症になると骨折が起こりやすい場所になっています。
測った骨密度を、YAM(Young Adult Mean)値という数値を使って評価します。YAM値は、20歳から44歳という若い年齢での骨密度の平均値で、ここから自分の骨密度がどれくらい低下しているかを計算します。
下の絵が実際の検査結果です。
腰椎では若年成人と比較し97%ですが、大腿骨では67%という数値になっています。腰椎は年齢による変化が起きやすく正確な骨密度の測定が難しい場合が多いので、このように大腿骨も併せて測定し、骨粗しょう症と診断します。
また、血液検査で骨の代謝マーカーを測る場合もあります。骨形成(骨をつくる)のマーカー(P1NPなど)と骨吸収(骨を壊す)のマーカー(TRACP-5bなど)の2種類があり、特に後者が高いと代謝のバランスが崩れて骨が弱くなりやすい状態と考えられます。
そのほか、レントゲンで特に背骨の骨折が起こった跡がないかを確認します。骨密度の数値が良くてもいつの間にか骨折が起こっていることがあり、この場合も骨粗しょう症と考え治療を検討します。
以上が骨粗しょう症の検査となります。次回は骨粗しょう症の治療について解説したいと思います。
おまけ
2008年にWHO(世界保健機関)が発表したFRAXというツールがあります。これは、40歳以上を対象に、今後10年に骨折するリスクを確立で計算できるものです。年齢とあてはまる条件を選択することで簡便に結果がでますので、よろしければ下記サイトで試してみてください。
https://frax.shef.ac.uk/FRAX/tool.aspx?lang=jp
15%を超える数値が出た場合は、実際に骨密度を測定したほうがよいと考えられます。
今回から骨粗しょう症について解説していきます。
みなさまも「骨粗しょう症」という言葉を、耳にしたり目にしたりしたことがあると思いますが、なんとなく骨が弱くなる病気?というイメージでしょうか。
ある病気の結果として骨が弱くなる場合と、加齢による変化として骨が弱くなる場合があり、骨粗しょう症とは、【骨が弱くなる病気】ではなく【骨が弱くなった状態】といえます
骨粗しょう症自体では自覚症状がないため困ることはないですが、骨折しやすくなってしまうことが問題です。
骨折すると痛みや変形のため身体の活動性が低下してしまい、場合によっては寿命にも関わります。さらに動けなくなると介護が必要となり、金銭的な負担や家族の負担が増えるため、社会的にも問題となりえます。
骨折しやすい場所は決まっていて、ほとんどは背骨と股関節(太ももの付け根)です。その他で多い場所は手首と肩です。
ではどうして骨は弱くなるのでしょうか?
一般的に多い、閉経後骨粗しょう症について説明します。骨というものは、生まれてから一生、作って(骨形成)、壊して(骨吸収)、を交互に繰り返すことによって骨を新鮮な状態に保っています。骨を作る細胞を「骨芽(こつが)細胞」、骨を壊す細胞を「破骨(はこつ)細胞」といいます。若いうちはこの2つの細胞が協調してバランスよく骨を作り変えるのですが、女性の場合は特に閉経後にホルモンバランスが変化する影響で、破骨細胞のほうがより多く働く環境になってしまい、骨の代謝バランスが崩れて骨が弱くなってしまいます。
カルシウムをたくさんとればよいですか?と患者様からご質問をいただくことがあります。残念ながら、小魚を食べたり牛乳を飲んだりしても骨が強くなることは難しいと考えられます。理由は、骨の中の細胞の働きのアンバランスによって起こっていることですので、カルシウムを多く取り入れても骨をバランスよく作る助けにならないからです。いくら材料をたくさん運んでも、工場がうまく働かないければいい品物が作れないのと同じです、と患者様には説明するようにしています。
年齢を重ねるにつれて筋力の低下とともに転びやすくなることもあって、高齢の方は骨折を起こしやすい状態と言えます。前述したように、骨折を起こすと本人のみでなくご家族にもその後の生活に大きな影響を生じる可能性があります。そのため高齢化が著しい現代においては、骨粗しょう症は放置せずにしっかり治療を行うことが重要であると考えられます。
次回は、骨粗しょう症に対する検査について解説したいと思います
1月22日、久光製薬株式会社様での社内勉強会に講師として参加いたしました。
日々の診療の経験をもとにお話しをさせていただき、熱心にきいていただきました。
いろいろと情報交換させてもらい、これからも患者様のために頑張ろうと改めて思った次第です。
11月末に消防設備点検と消火訓練を行いました。
具体的な内容は、専門業者によるスプリンクラーや消化器のチェック、避難経路の確認、そしてスタッフで実際に行う水消化器を使った消火訓練です。
定期的に消防訓練や設備点検を行うことが、スタッフや患者の皆様、近隣のお住まいの方への安全を守る意味でも大切なことだと感じております。
もしもの時に備えて定期的に実施しておりますので、安心してご来院ください!
臨場感の溢れる消化訓練の様子をご覧ください!
↓スタッフみんなで消化設備の確認
↓植山PTの安定した消化器さばき
↓厳しくも優しい目で見守られながら訓練を行う大島さん
↓訓練中でもカメラ目線はしっかりキープする稲富Ns
こんにちは!理学療法士の谷口です。
前回の野球肘の紹介ブログでは『問診』について紹介しました。次は実際に状態のチェックや治療に進んでいきます。
野球肘の選手に対しては様々な方向からアプローチをすることが多いのですが、今回はその中でも特に重要な局所の症状のチェックについて紹介します。
局所の症状というのは痛みが出ている『肘』の状態について調べることです。
局所症状をチェックすると肘がどのような状態なのか分かり、治療の進み具合の判断基準になります。
この局所症状が残っているうちに投球を許可することはほとんどありません。
膝の痛みが強くて炎症が起こっているのに、長距離の歩行や階段の昇り降りを勧めることはありませんよね?
それと同じで肘のチェックで痛みが出ているのに、さらに負担のかかる投球動作をしてしまうと痛みが出てくるのは当然です。
そのため、リハビリを進めて行く中で、いざ投げ始めるというタイミングの時は、肘の局所症状が無くなっているというのが前提条件となります。
では実際に局所症状のチェックはどのように行うのか、いくつか紹介します。
【肘の圧痛】
肘の周囲の靭帯や筋肉、軟骨の場所を押して痛みを確認します。
痛みの場所を特定するときに非常に役立つので、毎回確認する検査方法です。
【肘の屈伸】
投げるときに痛い選手は、肘の曲げ伸ばしだけでも痛みを訴えることがよくあります。
痛みが強いケースでは『曲げづらい』『伸ばしづらい』など関節の動きに左右差がある場合が多いです。
【外反ストレステスト】
肘を外側に捻ることで、投げる時と似たようなストレスを肘にかけることができます。
投げるときに痛みが出る選手は、外反ストレステストで痛みや怖さを訴えるケースが多いです。
【MERテスト】
MERテストは、より投げるときの動きを再現したテストです。
投げる時と同様に、肩の捻りの動きと同時に肘の外反ストレスをかけて痛みの有無を調べます。
肩の動きが硬い選手は特に疼痛が出やすいので注意が必要です。
もっと色々な検査方法はありますが、今回紹介した検査は、特に投げる時の判断基準になる検査方法です。
レントゲンや投球を休んだ期間なども考慮しますが、これらの検査をクリアしたら投球を開始しています。
次回は肘以外の全身のチェック方法を紹介しますので、ぜひそちらもご覧ください!
理学療法士の谷口です。
今回は当院で行なっている野球肘のリハビリの実際の内容についてお話しします。
まずやることは、なぜ野球肘になったのか?という原因を探ることです。
そのために一番大事にしていること、それは『問診』です。
「病院で問診なんて当たり前だ」と思われるかもしれませんが、おそらくみなさんが思われているよりかなり詳細に聞きます。
肘の症状で当院を受診される野球選手のほとんどはオーバーユース、いわゆる投げ過ぎによって生じています。
しかしそれ以外にもポジションやチームメイトの人数、練習や試合の頻度、最近の身長や体重の変化など、痛みにつながる可能性のある要因を問診により探っていきます。
※問診例↓↓(ほんの一例です)
●いつどういう時(試合中、どんな練習中)に痛くなったのか?
●今どうすると痛いのか?
●これまで同じようなケガはあったのか?
●投げるどの時にどこが痛いのか?
●ポジションはどこを守ることが多いのか?
●バッティングでも痛いのか?
●練習の頻度は?
●チームメイトは何人いるのか?
●試合、大会の予定は?
●身長、体重はどう変化している?
もしその中で野球肘につながりそうなことがあれば、治療の中でその説明をさせていただいています。
野球肘になる原因が分かれば、そうならないような対策も自ずと見えてくるからです。
野球での傷害を乗り越えまた思い切り野球ができるようになるためには、選手である子どもだけで解決するのは難しく、ご両親や指導者の方々もご理解いただき再発防止に向けて協力していただくことが重要と考えます。
できる限り選手の思いを汲んだ復帰プランを考えていきますので、来院された際は自分の思いや考えを遠慮なくぶつけてください!
次からは実際の治療やチェックの方法を紹介していきます。ぜひそちらも目を通してみてください。
今回は、野球肘について解説いたします。一度に話をすると長くなるので、何回かに分けたいと思います。
野球肘とは、繰り返しボールを投げる動作で生じる肘関節の障害です。とくに成長期である小学生から中学生にかけて起こり、ある調査では病院を受診した野球少年の症状のうち、小学生で約80%、中学生で約55%が肘の痛みであったという結果がでています。
野球肘では痛みは投球動作の際に起こり、日常生活における動作ではあまり問題になることはありません。野球ボールを投げる動作というのは、ヒトの体、特に肩関節、肘関節にとっては不自然で強いストレスが生じる動きなのです。投球を繰り返すことによって傷害が蓄積し、ついには痛みが出現します。
では、肘にはどのようなことが起こっているのでしょうか。大きく分けると、内側と外側に分けられ、それぞれ起こっていることが違います。
肘関節は、上側(肩側)は上腕骨、下側(手側)は尺骨と橈骨という骨で構成されています。
外側では骨同士(上腕骨と橈骨)がぶつかるような動きとなり、内側では骨(上腕骨と尺骨)が離れる方向に動きます。この動きがストレスとなり、繰り返されることによって肘を傷めてしまいます。外側では、上腕骨側の軟骨の損傷を生じ、内側では上腕骨の成長軟骨や靭帯を損傷します。とくに外側の軟骨損傷は進んでしまうと将来にも障害が残ってしまうので、しっかりした対処が必要となります。
外側での軟骨の損傷を「離断性骨軟骨炎」、内側を「成長軟骨損傷、裂離骨折、内側側副靭帯損傷(状態によって変わります)」という診断名になります。
離断性骨軟骨炎は、初期の段階であれば90%以上で手術をしなくても治りますが、終末期だと手術が必要になります。早期診断、早期治療が重要ですが、初期段階の半分は無症状です。とくにピッチャーとして頑張っている場合、症状がなくても定期的に検診を受けていただいたほうが良いと考えられます。
内側の傷害の場合は、基本的に投球中止、安静で回復しますが、写真のような骨折を生じている場合はしばらく関節を動かさないように固定をする必要があります。
野球肘において最も重要なことは、当たり前ですが予防することです。そのために、やはり投球数制限と正しい投球フォームを習得することが必要です。正しい、肘を傷めにくいフォームを身に着けるためには、筋力や関節の柔軟性が重要になります。小学~中学生はとくに筋力がまだ弱く、成長に従って関節が固くなっていきますので投球フォームが乱れてストレスがかかりがちです。
次の投稿では、理学療法士よりリハビリなどを解説してもらいます。
院長です。
みなさんは「とっても健康ランド」というテレビ番組をご存じですか?
土曜日の10時から15分のみの放送なので、なかなかご覧になることはなかったかもしれませんね。
1998年から始まったKBCの医療情報番組ですが、今年9月28日の放送をもって終了となっています。26年間も放送を続けたというのはすごいですね(放送回数は1333回とのことです)。
毎回日替わりで医師が出演し専門分野の解説を行うのですが、わたしも以前お声がけいただきこの番組に出演したことがあります。
2018年、九州医療センターに勤務していた頃に外反母趾についてというテーマでお話をさせていただきました。
残念ながら動画としては残っておらず、妻がテレビ越しにとったこの写真の画像しかありませんでした。
ほとんどぶっつけ本番で台本もなく、初めてのテレビ撮影だったので緊張したのを覚えています。
自分が出演させていただた番組が終了したというのは少し寂しい気がします。また地元密着型の医療情報番組が始まればいいなと期待しています。
こんにちは、院長です。
今日は、4月1日にかむら整形外科として診療を開始し、ちょうど半年が過ぎました。
ミーティングを行い、この半年を振り返り、今後への課題や目標などをスタッフみんなで共有しました。
また、すべては患者様のために、何事も患者様ファーストという理念を再度確認しあいました。
まだ半年経っただけですが、大きな問題なく始められたのはスタッフみんなの頑張りによるものですので、感謝の気持ちでいっぱいです。
これからも、病気やケガで困っている患者様に全力で診療を行っていきたいと思います!
「sitting is killing you(座っていることがあなたを殺す)」
なかなか衝撃的な言葉ですが、お聞きになったことはありますか?
生活の中で座っている時間が長いと、様々な病気を起こしたり寿命に関わる、ということから生まれた言葉です。下のグラフのように、日本人は世界で見ても座っている時間が長いことがわかっています。
座りすぎがもたらす可能性のある体への悪影響として、
1.血行不良と筋力低下
2.メタボのリスク増加
3.心臓病のリスク増加
4.糖尿病のリスク増加
5.精神的健康への影響
6.がん発生のリスク増加
7.寿命の短縮
が挙げられます。
以下、WHOより推奨されている運動の目安です
(WHO身体活動・座位行動ガイドラインより抜粋)
WHOのガイドラインでも、座位行動の時間短縮がすすめられています。
しかし、これらの運動を実際に行うとなるとなかなか大変です。とくに、ヒザや腰など体に痛みがあると動くことが難しくなり、ますます筋力が衰え運動することができなくなるという悪循環におちいってしまいます。
推奨されている運動まではできなくても、少しでも動こうとする意識が重要です。
ご自分で体を動かすことが難しければ、理学療法士の指導の下運動を行うことが可能ですので、気になられたら受診していただければと思います。
院長