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スポーツリハビリに特化した快適空間へ

こんにちは、理学療法士の谷口です。

2月で廃止となった当院の1日型のデイケアサービス。
これまでご利用いただいていた皆さま、本当にありがとうございました。

その後、空いたスペースを「何か有効に活用できないか」と考え、私たちが出した答えが——
『スポーツリハビリ専用ルーム』へのレイアウトチェンジです!

とりあえず大きなテーブルを撤去し、動けるスペースを確保しました。

まだまだ殺風景ですが、これから少しずつスポーツリハがしやすいような環境を作っていきたいと思います。

ぜひ「スポーツで怪我をした」「早くスポーツ復帰したい」という選手は、当院をご利用ください。

2025年05月13日
開院1周年

昨年4月1日よりかむら整形外科として開院し、早いもので丸1年が経ちました。

スタッフ一同、とにかく患者様のことを第一に考え、信用・信頼される病院を目指そうと頑張ってまいりました。何か問題などがおこる度にスタッフで話し合って改善策を検討し再発防止に取り組み、どうすることが患者様にとってもっとも良いことかを考えてきました。この1年でわたしもスタッフも、みんなで成長できたという実感がありますし、優しく思いやりの雰囲気にあふれたクリニックになっているという自信があります。

わたしは整形外科医になって20年以上たちますが、院長としては1年目の初心者でした。わからないことも多く試行錯誤なところもありましたが、本当にまわりのスタッフが助けてくれたおかげで大きな問題もなく、この1年間をやってこられました。スタッフの皆さんに、心から感謝しております。

まだ2年目が始まったばかりの新米クリニックですが、これからも誠心誠意、「心と体で寄り添う」をモットーに患者様のための医療を行ってまいります。今後とも、よろしくお願いいたします。

                                            院長

2025年04月02日
骨粗しょう症③

骨粗しょう症シリーズ3回目は、治療について解説いたします。

シリーズ②で検査を行った結果も踏まえ、おおむね下の図のように考えて治療開始するかどうかを決定します。

         骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015より

まとめると、骨粗しょう症に起因するような骨折を起こしたことがある場合や、骨密度が若い人と比べて70%未満の場合は治療開始が推奨されています。

とくに、下記のような状態の場合は、次の骨折の発生を防ぐために早急に治療を行うことが望ましいとされています。

骨粗しょう症の治療のための薬は数多くありますが、大きく2つに分けられ、骨をつくる働きを促進させるもの(骨形成促進薬)と、骨を壊す働きを抑えるもの(骨吸収抑制薬)があります。

さらに、飲み薬と注射製剤に分けられ、まとめると下の図のようになります。

注射製剤は飲み薬よりも効果は高いですが、使える期間に制限がある場合があることと、金額が高いという特徴があります。ただ、内服薬より効果発現が強く早いため、前述した骨折危険性の高い状態であれば注射製剤の方が望ましいと考えられます。

最後に、副作用についてです。主に骨吸収抑制薬で関連があるとされる顎骨壊死というものがあります。これは歯茎とあごの骨が壊死してしまう重大な病気ですが、骨粗しょう症の薬によって顎骨壊死になるわけではなく、抜歯などの処置が行われたときに生じる顎骨壊死を生じる可能性が上昇する‘‘かもしれない‘‘と言われています。顎骨壊死との関連が発表された当初は問題視されましたがはっきりとした関連はわかっておらず、結局は口の中を清潔に保つことが重要とされています。最近は歯科の先生も以前ほど気にされなくなっている印象です。

あとは、どの薬でも血液中のカルシウムの濃度が変化します。高すぎても低すぎても体にとってよくない時々血液検査でチェックする必要があります。

骨粗しょう症治療の理想は、早期発見・早期治療によって骨折を未然に防ぐことです。ある程度の年齢になったら、骨密度検査を受けることをご検討ください。

2025年02月18日
野球肘〜全身の機能をチェック〜

こんにちは。理学療法士の谷口です。

今回は野球肘で来院した選手に行う、肘以外のチェックポイントについて紹介します。

『投球動作』で大切なことは、腕を強く振るだけではありません。

いかに効率良く全身を使ってボールに力を伝えていくか、というのが重要です。

これまでの研究でも、全身を上手に使って投げることで怪我のリスクを減らし、より高いパフォーマンスを発揮できることが分かっています。

逆に使い方が悪いと肘や肩に負担のかかる投げ方になってしまい、怪我のリスクやパフォーマンスの低下を招いてしまいます。

当院では、野球肘や野球肩により治療が必要な場合は、無理に投げさせずに投球休止の期間を設けることが多いです。

そこで、投球休止の期間に、肘や肩と同じくらい『全身機能の改善』に重点を置いてアプローチします。

今回は全身機能のチェックポイントの例をいくつか紹介させてもらいます。

自分でできるチェックポイントも多いので、ぜひ活用してみてください!

《全身のチェックポイントの例↓↓》

①片脚バランス

②股関節内転・外転筋力

③ランジ動作・片脚スクワット動作

④開脚

⑤股関節内旋・外旋

今回は股関節に重点を置いたチェックポイントを紹介しました。

投げる時の重心移動や回旋の力を伝えるために有効なポイントなので、ぜひ一緒に取り組んでみましょう!

2025年02月15日
骨粗しょう症②

今回は骨粗しょう症第2弾です。検査についてご説明します。

骨粗しょう症とは、「骨の量」が少なくなることと、「骨の質」が悪くなることで強度が弱くなってしまう状態です。「骨の質」を測る検査はありませんが、「骨の量」を骨密度を測定して評価します。

骨密度を測定するにはいくつかの方法がありますが、一般的にはDXA(デキサ)法という放射線を使った検査を行います。測る場所としては、主には腰椎(腰の背骨)や大腿骨(太ももの骨)の付け根で測定します。いずれも骨粗しょう症になると骨折が起こりやすい場所になっています。

測った骨密度を、YAM(Young Adult Mean)値という数値を使って評価します。YAM値は、20歳から44歳という若い年齢での骨密度の平均値で、ここから自分の骨密度がどれくらい低下しているかを計算します。

下の絵が実際の検査結果です。

腰椎では若年成人と比較し97%ですが、大腿骨では67%という数値になっています。腰椎は年齢による変化が起きやすく正確な骨密度の測定が難しい場合が多いので、このように大腿骨も併せて測定し、骨粗しょう症と診断します。

また、血液検査で骨の代謝マーカーを測る場合もあります。骨形成(骨をつくる)のマーカー(P1NPなど)と骨吸収(骨を壊す)のマーカー(TRACP-5bなど)の2種類があり、特に後者が高いと代謝のバランスが崩れて骨が弱くなりやすい状態と考えられます。

そのほか、レントゲンで特に背骨の骨折が起こった跡がないかを確認します。骨密度の数値が良くてもいつの間にか骨折が起こっていることがあり、この場合も骨粗しょう症と考え治療を検討します。

以上が骨粗しょう症の検査となります。次回は骨粗しょう症の治療について解説したいと思います。

おまけ

2008年にWHO(世界保健機関)が発表したFRAXというツールがあります。これは、40歳以上を対象に、今後10年に骨折するリスクを確立で計算できるものです。年齢とあてはまる条件を選択することで簡便に結果がでますので、よろしければ下記サイトで試してみてください。

https://frax.shef.ac.uk/FRAX/tool.aspx?lang=jp

15%を超える数値が出た場合は、実際に骨密度を測定したほうがよいと考えられます。

2025年02月07日
骨粗しょう症①

今回から骨粗しょう症について解説していきます。

みなさまも「骨粗しょう症」という言葉を、耳にしたり目にしたりしたことがあると思いますが、なんとなく骨が弱くなる病気?というイメージでしょうか。

ある病気の結果として骨が弱くなる場合と、加齢による変化として骨が弱くなる場合があり、骨粗しょう症とは、【骨が弱くなる病気】ではなく【骨が弱くなった状態】といえます

骨粗しょう症自体では自覚症状がないため困ることはないですが、骨折しやすくなってしまうことが問題です。

骨折すると痛みや変形のため身体の活動性が低下してしまい、場合によっては寿命にも関わります。さらに動けなくなると介護が必要となり、金銭的な負担や家族の負担が増えるため、社会的にも問題となりえます。

骨折しやすい場所は決まっていて、ほとんどは背骨と股関節(太ももの付け根)です。その他で多い場所は手首と肩です。

ではどうして骨は弱くなるのでしょうか?

一般的に多い、閉経後骨粗しょう症について説明します。骨というものは、生まれてから一生、作って(骨形成)、壊して(骨吸収)、を交互に繰り返すことによって骨を新鮮な状態に保っています。骨を作る細胞を「骨芽(こつが)細胞」、骨を壊す細胞を「破骨(はこつ)細胞」といいます。若いうちはこの2つの細胞が協調してバランスよく骨を作り変えるのですが、女性の場合は特に閉経後にホルモンバランスが変化する影響で、破骨細胞のほうがより多く働く環境になってしまい、骨の代謝バランスが崩れて骨が弱くなってしまいます。

カルシウムをたくさんとればよいですか?と患者様からご質問をいただくことがあります。残念ながら、小魚を食べたり牛乳を飲んだりしても骨が強くなることは難しいと考えられます。理由は、骨の中の細胞の働きのアンバランスによって起こっていることですので、カルシウムを多く取り入れても骨をバランスよく作る助けにならないからです。いくら材料をたくさん運んでも、工場がうまく働かないければいい品物が作れないのと同じです、と患者様には説明するようにしています。

年齢を重ねるにつれて筋力の低下とともに転びやすくなることもあって、高齢の方は骨折を起こしやすい状態と言えます。前述したように、骨折を起こすと本人のみでなくご家族にもその後の生活に大きな影響を生じる可能性があります。そのため高齢化が著しい現代においては、骨粗しょう症は放置せずにしっかり治療を行うことが重要であると考えられます。

次回は、骨粗しょう症に対する検査について解説したいと思います

2025年02月01日
久光製薬株式会社様の社内勉強会に参加しました

1月22日、久光製薬株式会社様での社内勉強会に講師として参加いたしました。

日々の診療の経験をもとにお話しをさせていただき、熱心にきいていただきました。

いろいろと情報交換させてもらい、これからも患者様のために頑張ろうと改めて思った次第です。

2025年01月23日
消火訓練を行いました!

11月末に消防設備点検消火訓練を行いました。

具体的な内容は、専門業者によるスプリンクラーや消化器のチェック避難経路の確認、そしてスタッフで実際に行う水消化器を使った消火訓練です。

定期的に消防訓練や設備点検を行うことが、スタッフや患者の皆様、近隣のお住まいの方への安全を守る意味でも大切なことだと感じております。

もしもの時に備えて定期的に実施しておりますので、安心してご来院ください!

臨場感の溢れる消化訓練の様子をご覧ください!

↓スタッフみんなで消化設備の確認

消化設備の確認

↓植山PTの安定した消化器さばき

↓厳しくも優しい目で見守られながら訓練を行う大島さん

↓訓練中でもカメラ目線はしっかりキープする稲富Ns

2024年12月06日
野球肘 Part3

こんにちは!理学療法士の谷口です。

前回の野球肘の紹介ブログでは『問診』について紹介しました。次は実際に状態のチェックや治療に進んでいきます。

野球肘の選手に対しては様々な方向からアプローチをすることが多いのですが、今回はその中でも特に重要な局所の症状のチェックについて紹介します。

局所の症状というのは痛みが出ている『肘』の状態について調べることです。

局所症状をチェックすると肘がどのような状態なのか分かり、治療の進み具合の判断基準になります。

この局所症状が残っているうちに投球を許可することはほとんどありません

膝の痛みが強くて炎症が起こっているのに、長距離の歩行や階段の昇り降りを勧めることはありませんよね?

それと同じで肘のチェックで痛みが出ているのに、さらに負担のかかる投球動作をしてしまうと痛みが出てくるのは当然です。

そのため、リハビリを進めて行く中で、いざ投げ始めるというタイミングの時は、肘の局所症状が無くなっているというのが前提条件となります。

では実際に局所症状のチェックはどのように行うのか、いくつか紹介します。

【肘の圧痛】

肘の周囲の靭帯筋肉軟骨の場所を押して痛みを確認します。

痛みの場所を特定するときに非常に役立つので、毎回確認する検査方法です。

【肘の屈伸】

投げるときに痛い選手は、肘の曲げ伸ばしだけでも痛みを訴えることがよくあります。

痛みが強いケースでは『曲げづらい』『伸ばしづらい』など関節の動きに左右差がある場合が多いです。

【外反ストレステスト】

肘を外側に捻ることで、投げる時と似たようなストレスを肘にかけることができます。

投げるときに痛みが出る選手は、外反ストレステストで痛みや怖さを訴えるケースが多いです。

【MERテスト】

MERテストは、より投げるときの動きを再現したテストです。

投げる時と同様に、肩の捻りの動きと同時に肘の外反ストレスをかけて痛みの有無を調べます。

肩の動きが硬い選手は特に疼痛が出やすいので注意が必要です。

もっと色々な検査方法はありますが、今回紹介した検査は、特に投げる時の判断基準になる検査方法です。

レントゲンや投球を休んだ期間なども考慮しますが、これらの検査をクリアしたら投球を開始しています。

次回は肘以外の全身のチェック方法を紹介しますので、ぜひそちらもご覧ください!

2024年12月05日
野球肘 Part2

理学療法士の谷口です。

今回は当院で行なっている野球肘のリハビリの実際の内容についてお話しします。

まずやることは、なぜ野球肘になったのか?という原因を探ることです。

そのために一番大事にしていること、それは『問診』です。

「病院で問診なんて当たり前だ」と思われるかもしれませんが、おそらくみなさんが思われているよりかなり詳細に聞きます。

肘の症状で当院を受診される野球選手のほとんどはオーバーユース、いわゆる投げ過ぎによって生じています。

しかしそれ以外にもポジションやチームメイトの人数、練習や試合の頻度、最近の身長や体重の変化など、痛みにつながる可能性のある要因を問診により探っていきます。

※問診例↓↓(ほんの一例です)

●いつどういう時(試合中、どんな練習中)に痛くなったのか?

●今どうすると痛いのか?

●これまで同じようなケガはあったのか?

●投げるどの時にどこが痛いのか?

●ポジションはどこを守ることが多いのか?

●バッティングでも痛いのか?

●練習の頻度は?

●チームメイトは何人いるのか?

●試合、大会の予定は?

●身長、体重はどう変化している?

もしその中で野球肘につながりそうなことがあれば、治療の中でその説明をさせていただいています。

野球肘になる原因が分かれば、そうならないような対策も自ずと見えてくるからです。

野球での傷害を乗り越えまた思い切り野球ができるようになるためには、選手である子どもだけで解決するのは難しく、ご両親や指導者の方々もご理解いただき再発防止に向けて協力していただくことが重要と考えます。

できる限り選手の思いを汲んだ復帰プランを考えていきますので、来院された際は自分の思いや考えを遠慮なくぶつけてください!

次からは実際の治療やチェックの方法を紹介していきます。ぜひそちらも目を通してみてください。

2024年10月25日