関節リウマチ

関節リウマチとは

免疫系の異常により起こりますが、いまだにその原因は特定されていません。遺伝的な要因に加え、感染、タバコ、歯周病、妊娠に伴うホルモンの変化などをきっかけに発症すると考えられています。体の手足のさまざまな関節に炎症を起こし、滑膜が増殖して関節の中を傷めます。進行すると関節の変形をきたし、日常生活に大きな悪影響を及ぼす可能性のある疾患です。 残念ながら、治癒させる方法は分かっていません。

関節リウマチの診断

世界共通の診断のための指針がありますが、最終的にはリウマチ専門医による判断が望ましいと考えられます。
症状として関節の腫れや痛みがあることが前提ですので、患部を触って診察することが必要です。検査としては単純レントゲン、血液検査や超音波検査を行います。
薬を使う上でチェックすべき項目があり、必要に応じて大きな病院で精密検査を受けていただく場合があります。

関節リウマチの治療

関節リウマチは、残念ながら体から消え去らせることはできない病気です。さまざまな薬を適切に使って、”コントロールする”ことが重要です。なぜコントロールする必要があるかというと、リウマチの勢いが強いままにしておくと関節の変形をきたし、日常生活へ大きな悪影響を及ぼす可能性があるからです。
治療を行う上でもっとも重要なことは、医師と患者さんとの間で情報を共有し、話合いのもと治療方針を決定することとされています。とは言え、専門的なことは患者さんには分からないことが多いので、できるだけわかりやすく説明することを心掛けています。リウマチの薬は免疫抑制剤という特殊なものとなり、注意すべき点を理解していただいた上で、治療を行います。「病気を抑えること」と「薬の副作用の監視」が、関節リウマチ治療の大切な両輪と言えます。

関節リウマチと肺病変

関節リウマチは、手足の関節以外にも体のさまざまな場所に影響を及ぼす可能性があります。中でもリウマチと肺にはとても密接な関係があり、関節外症状として特に間質性肺炎という疾患を伴うこともしばしばあります。また、ステロイド使用、元々の肺病変がある、高齢であるなどの理由で肺結核、ニューモシスチス肺炎などの感染症を合併することもあります。 一般的に、関節リウマチという病気が肺の病気と結びつくイメージはないと思いますが、切っても切れない関係と言えます。関連して、タバコがリウマチを引き起こす要因のひとつとも言われています。喫煙を続けていると治療がうまくいかない可能性もあります。増悪すると命に関わる場合もありますので、常に念頭においてチェックする必要があります。

関節リウマチと妊娠・出産

妊娠可能年齢でのリウマチの治療はとくに注意が必要です。リウマチの状態が悪いと妊娠しにくかったり、流産する可能性が高くなるというデータが出ていますし、妊娠中には使える薬、使えない薬がありますので、慎重に治療方針を検討しなければなりません。

高齢者のリウマチ

高齢化に伴い、高齢で発症するリウマチ患者さんも増えています。高齢者ではさまざまな病気をかかえていることが多く、内臓も弱ってきていることがあるので、使う薬を慎重に選択し、副作用により注意する必要があります。

関節リウマチと帯状疱疹について

帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウィルスによっておきる感染症の一つで、子どもの頃になる水ぼうそうを起こすウィルスです。水ぼうそうが治ったあとも体の中に隠れており、免疫力が低下したときに症状を起こします。
リウマチの治療薬は基本的に免疫抑制の作用がありますので、帯状疱疹を起こす可能性が高くなっています。特に、生物学的製剤や、JAK阻害剤という強い薬で起きる可能性が高くなります。JAK阻害剤は、生物学的製剤の2~4倍程度、帯状疱疹になるリスクが高いと言われています。

関節リウマチとリンパ腫について

リンパ腫は、白血球の中のリンパ球という細胞ががん化することで起こる病気です。メトトレキサート(リウマトレックス、メトレート)、タクロリムス(プログラフ)や生物学的製剤といった、リウマチに対して一般的に使われている免疫抑制薬によってリンパ腫が起こる場合があります。特に、活動性が高いとよりリスクが高まるため、治療によるコントロールが重要です。

関節リウマチとB型肝炎について

B型肝炎ウイルスは、ウイルスを持った人の血液が何らかの経路で他の人の血液中には入ると感染します。
成人で感染した場合は、一過性の急性肝炎を発症するか、何も症状が起こらずにウィルスが体から排除されますが、中には劇症化(重症型)したり、体からウイルスが排除されずに感染が持続することがあります。また、今悪さをしていなくても、体の免疫力によって抑えられているだけの状態(潜伏)である場合があります。
一般的に、急性肝不全の原因の約半数は、ウイルスによるものであり、そのうちの90%程度はB型肝炎ウイルスによるものというデータがあります。リウマチがあることと、B型肝炎は直接関連はありませんが、薬が関係する可能性があり、治療開始時にスクリーニング検査をしておく必要があります。検査すると過去にウイルスにかかった形跡は時々見受けられますが、ほとんどの場合症状がなくご本人に感染した自覚はありません。
免疫抑制薬を使用する際は、血液検査でB型肝炎ウイルスがいるかどうか、または過去に感染した形跡がないかどうかを調べ、どちらかによって対応が変わります。今現在ウイルスが存在すれば、抗ウイルス薬の治療が必要となる場合がありますので、肝臓の専門医に紹介いたします。過去にかかった形跡のみであれば、再活性化に注意しながらリウマチの治療を行います。普段の採血で肝機能をチェックし、3ヶ月に1度程度ウイルスのDNAを調べます。