関節の腫れ① 痛風と偽痛風

院長です。

手足の関節が腫れて痛いということで整形外科を受診される患者様は多くおられます。

ほとんどは突き指や捻挫など、ケガで関節が腫れることがありますが、中には何も原因がないのに起こることがあります。このような場合どんな疾患が考えられるか、何回かに分けて解説していきたいと思います。

腫れというのはいわゆる炎症が起こった状態です。赤みや熱をもつこともあります。

関節内に炎症を起こす疾患として一般的に多いのは、痛風偽痛風(ぎつうふう)です。痛風は尿酸値が高いと尿酸の結晶が関節内にたまって炎症を起こします(痛風発作)。痛風発作が最も起こりやすいのは足の親指の付け根になりますが、ヒザなどにも生じます。

偽痛風はにせの痛風というとおり痛風発作と似た症状で、主に高齢者に起こり、こちらはピロリン酸カルシウムが関節内にたまって炎症を起こします。偽痛風はヒザ、肩、手首、足首などに生じます。

両者を区別する方法としては2つあり、1つはレントゲンで偽痛風は結晶が石灰化として白くうつりますが痛風はうつらないという違いを見ることです。もう1つは、関節にたまった液を採取することができれば、顕微鏡の検査で尿酸結晶とピロリン酸結晶のどちらがみられるかを確認する方法です。

治療ですが基本的には、どちらも時間が経てばいったん治まりますので、痛み止めなどでしのぎます。偽痛風の場合、大きな関節に起こることが多いのでステロイド剤を注射することで早めに良くなる場合がほとんどです。ただし、いったん治まってもいずれまた起こる可能性があり、それを防ぐ方法はわかっていません。

痛風の場合は、発作が治まったあとに薬を使って尿酸値を下げることが重要です。痛風は発作のみならず、腎臓などの臓器にも悪影響を及ぼしますのでしっかりと治療を受けていただきたいと思います。

以上、今回は痛風と偽痛風について説明いたしました。

また次に別の疾患について解説したいと思います。

2024年08月05日