骨粗しょう症シリーズ3回目は、治療について解説いたします。
シリーズ②で検査を行った結果も踏まえ、おおむね下の図のように考えて治療開始するかどうかを決定します。
まとめると、骨粗しょう症に起因するような骨折を起こしたことがある場合や、骨密度が若い人と比べて70%未満の場合は治療開始が推奨されています。
とくに、下記のような状態の場合は、次の骨折の発生を防ぐために早急に治療を行うことが望ましいとされています。
骨粗しょう症の治療のための薬は数多くありますが、大きく2つに分けられ、骨をつくる働きを促進させるもの(骨形成促進薬)と、骨を壊す働きを抑えるもの(骨吸収抑制薬)があります。
さらに、飲み薬と注射製剤に分けられ、まとめると下の図のようになります。
注射製剤は飲み薬よりも効果は高いですが、使える期間に制限がある場合があることと、金額が高いという特徴があります。ただ、内服薬より効果発現が強く早いため、前述した骨折危険性の高い状態であれば注射製剤の方が望ましいと考えられます。
最後に、副作用についてです。主に骨吸収抑制薬で関連があるとされる顎骨壊死というものがあります。これは歯茎とあごの骨が壊死してしまう重大な病気ですが、骨粗しょう症の薬によって顎骨壊死になるわけではなく、抜歯などの処置が行われたときに生じる顎骨壊死を生じる可能性が上昇する‘‘かもしれない‘‘と言われています。顎骨壊死との関連が発表された当初は問題視されましたがはっきりとした関連はわかっておらず、結局は口の中を清潔に保つことが重要とされています。最近は歯科の先生も以前ほど気にされなくなっている印象です。
あとは、どの薬でも血液中のカルシウムの濃度が変化します。高すぎても低すぎても体にとってよくない時々血液検査でチェックする必要があります。
骨粗しょう症治療の理想は、早期発見・早期治療によって骨折を未然に防ぐことです。ある程度の年齢になったら、骨密度検査を受けることをご検討ください。