骨粗しょう症①

今回から骨粗しょう症について解説していきます。

みなさまも「骨粗しょう症」という言葉を、耳にしたり目にしたりしたことがあると思いますが、なんとなく骨が弱くなる病気?というイメージでしょうか。

ある病気の結果として骨が弱くなる場合と、加齢による変化として骨が弱くなる場合があり、骨粗しょう症とは、【骨が弱くなる病気】ではなく【骨が弱くなった状態】といえます

骨粗しょう症自体では自覚症状がないため困ることはないですが、骨折しやすくなってしまうことが問題です。

骨折すると痛みや変形のため身体の活動性が低下してしまい、場合によっては寿命にも関わります。さらに動けなくなると介護が必要となり、金銭的な負担や家族の負担が増えるため、社会的にも問題となりえます。

骨折しやすい場所は決まっていて、ほとんどは背骨と股関節(太ももの付け根)です。その他で多い場所は手首と肩です。

ではどうして骨は弱くなるのでしょうか?

一般的に多い、閉経後骨粗しょう症について説明します。骨というものは、生まれてから一生、作って(骨形成)、壊して(骨吸収)、を交互に繰り返すことによって骨を新鮮な状態に保っています。骨を作る細胞を「骨芽(こつが)細胞」、骨を壊す細胞を「破骨(はこつ)細胞」といいます。若いうちはこの2つの細胞が協調してバランスよく骨を作り変えるのですが、女性の場合は特に閉経後にホルモンバランスが変化する影響で、破骨細胞のほうがより多く働く環境になってしまい、骨の代謝バランスが崩れて骨が弱くなってしまいます。

カルシウムをたくさんとればよいですか?と患者様からご質問をいただくことがあります。残念ながら、小魚を食べたり牛乳を飲んだりしても骨が強くなることは難しいと考えられます。理由は、骨の中の細胞の働きのアンバランスによって起こっていることですので、カルシウムを多く取り入れても骨をバランスよく作る助けにならないからです。いくら材料をたくさん運んでも、工場がうまく働かないければいい品物が作れないのと同じです、と患者様には説明するようにしています。

年齢を重ねるにつれて筋力の低下とともに転びやすくなることもあって、高齢の方は骨折を起こしやすい状態と言えます。前述したように、骨折を起こすと本人のみでなくご家族にもその後の生活に大きな影響を生じる可能性があります。そのため高齢化が著しい現代においては、骨粗しょう症は放置せずにしっかり治療を行うことが重要であると考えられます。

次回は、骨粗しょう症に対する検査について解説したいと思います

2025年02月01日